シーズンオフの暖房器具、特にストーブは、適切な掃除と片付けが重要です。正しくお手入れすることで、来シーズンも安全に、そして暖かく使うことができます。
この記事では、石油ストーブと電気ストーブに焦点を当て、それぞれの分解掃除の方法から、長持ちさせる保管方法まで、詳しく解説します。さらに、掃除を楽にする便利グッズや、業者に依頼する際のポイントもご紹介します。
1. ストーブ掃除・片付けの重要性:なぜ必要なのか?

シーズンオフのストーブ、そのまま押し入れや物置にしまっていませんか?実は、ストーブの掃除と適切な片付けは、以下の点で非常に重要です。
来シーズンも性能を維持するために
ストーブ内部にホコリや汚れが溜まったまま放置すると、燃焼効率が低下し、暖房能力が落ちてしまいます。ストーブを付けているのになぜか暖かくならないな…と感じる場合は、燃焼効率の低下が原因かもしれません。
また、電気ストーブの場合は、ホコリが原因で発熱体に負荷がかかり、故障の原因になることもあります。
ストーブの寿命を延ばす
定期的な掃除とメンテナンスは、ストーブの寿命を延ばすことにも繋がります。特に、石油ストーブは、内部の清掃を怠ると、タールやススが溜まり、石油ストーブの芯の交換が必要になるなど、劣化を早めてしまいます。
安全に使うために
ストーブの汚れは、不完全燃焼や火災の原因になることもあります。特に、石油ストーブは、誤った取り扱いやメンテナンス不足が、一酸化炭素中毒などの重大な事故に繋がる危険性があります。ストーブを掃除せず放置するのではなく、必ず掃除しましょう。
カビ・臭い対策
ストーブ内部にホコリや汚れが残っていると、湿気と相まってカビや雑菌が繁殖し、悪臭の原因になります。特に、梅雨時期など、高温多湿の時期に保管する場合は、カビや臭いの発生などの問題が起きないよう、注意が必要です。
2. 【石油ストーブ】掃除&片付け方

石油ストーブは、構造が複雑なため、掃除に手間がかかるイメージがありますが、ポイントを押さえれば、自分でも安全に行うことができます。
石油ストーブの種類と特徴
石油ストーブには、大きく分けて対流式と反射式の2種類があります。

- 対流式:
- 構造: 円筒形の燃焼筒の周りを囲むように空気が流れる構造。
- 暖房の仕組み: 暖められた空気が上昇し、部屋全体をじんわりと暖めます。
- メリット: 部屋全体をムラなく暖めることができる。
- デメリット: 暖まるまでに時間がかかる。
- 掃除の注意点: 燃焼筒や、その周りのホコリをしっかり取り除く。

- 反射式:
- 構造: 燃焼筒の背面に反射板があり、熱を前方に放射する構造。
- 暖房の仕組み: 反射板によって熱が前方に集中するため、局所的に暖めるのに適しています。
- メリット: 比較的早く暖まる。
- デメリット: 部屋全体を暖めるのには不向き。
- 掃除の注意点: 反射板の汚れをしっかり落とす。
さらに、石油ストーブには、カートリッジタンク式と固定タンク式があります。
- カートリッジタンク式:
- メリット: タンクを取り外して給油できるので、給油が楽。
- デメリット: タンク容量が小さい場合がある。
- 固定タンク式:
- メリット: タンク容量が大きいものが多い。
- デメリット: 給油の際に、ストーブ本体を移動させる必要がある場合がある。
必要な道具
- 灯油ポンプ: タンク内の灯油を抜くために使用します。手動式や電動式があります。
- ポリタンク: 抜いた灯油を保管します。
- ドライバー: ネジを外す必要がある場合に使用します。(プラスとマイナスがあると便利)
- 軍手:安全に作業を行うため、必ず着用しましょう。
- マスク: ホコリやススを吸い込まないように着用しましょう。
- 新聞紙: 作業場所を汚さないために敷きます。
- ぼろ布: 汚れを拭き取ります。
- 歯ブラシ: 細かい部分の掃除に使用します。
- 掃除機: ホコリを吸い取るために使用します。
- バケツ: 汚れた部品を洗う際に使用します。
- 中性洗剤: 汚れがひどい場合に使用します(薄めて使用)。
- ビニール袋:本体を包み、保管する際に使用します。
- ガムテープ: ポリタンクのキャップを固定する際に使用します。
- 隙間掃除用ブラシ
- アルカリ電解水
掃除の手順
- 灯油を完全に抜く:
- 必ず火を消し、本体が完全に冷めてから作業を始めましょう。
- 給油タンクを取り出し、灯油ポンプを使って、残っている灯油をポリタンクに移します。
- 空焚き: タンクを空にするために、残った少量の灯油を燃焼させます(空焚き)。空焚きの方法は、ストーブの取扱説明書を必ず確認してください。
- 注意点: 空焚きは、必ず換気をしながら行いましょう。また、空焚き中は、ストーブから目を離さないでください。
- 本体を分解する:
- ストーブの種類によって、分解できる範囲が異なります。取扱説明書をよく確認し、無理のない範囲で分解しましょう。
- 一般的には、燃焼筒、天板、ガードなどを取り外します。
- ネジを紛失しないように、外したネジはまとめて保管しておきましょう。
- 分解が難しいと思ったら無理はしないようにしましょう。できる範囲で大丈夫です。
- 各部品を掃除する:
- 外側: 乾いた布や、固く絞った布で、本体外側の汚れを拭き取ります。汚れがひどい場合は、薄めた中性洗剤を使用し、その後、水拭きで洗剤をしっかり拭き取りましょう。
- 燃焼筒: 燃焼筒に付着したススやタールを、ブラシやヘラなどで丁寧に取り除きます。
- ポイント: ススやタールは、燃焼効率を低下させる原因になります。
- 注意点: 燃焼筒はデリケートな部品なので、力を入れすぎないように注意しましょう。
- 芯:基本的に交換するものなので掃除の必要はありません。交換の目安は取扱説明書を確認してください。「石油ストーブ 替え芯 値段」などで検索すると、替え芯の値段を調べられます。
- 内部: 掃除機で、本体内部のホコリやゴミを吸い取ります。
- 細かい部分: 細かい部分は、歯ブラシや綿棒、隙間掃除用ブラシを使って丁寧に掃除します。
- 乾電池を取り外す:
- 乾電池は、液漏れや腐食を防ぐため、必ず取り外しておきましょう。
- 組み立て:
- 分解した部品を、元の通りに組み立てます。
- ネジは、締め忘れがないように、しっかり締めましょう。
- 動作確認:
- 灯油を少量入れ(または新しい乾電池を入れ)、正しく動作するか確認します。
- 異常がないことを確認したら、残りの灯油をポリタンクに戻します。
片付け・保管方法
- 完全に乾燥させる: 各部品を完全に乾燥させます。水分が残っていると、カビやサビの原因になります。
- ポリタンクの灯油: 残った灯油は、ポリタンクに入れ、直射日光の当たらない冷暗所で保管します。
- ポイント: ポリタンクのキャップは緩みがないようにしっかり閉め、さらにガムテープなどで固定すると、より安全です。
- 本体を包む: 本体全体を、大きめのビニール袋などで覆い、ホコリが入らないようにします。
- 保管場所:
- 直射日光が当たらず、湿気の少ない場所に保管しましょう。
- 購入時の箱がある場合は、それに入れて保管すると、より安全です。
注意点
- 火気厳禁: 灯油を扱う際は、必ず火を消し、換気をしっかり行いましょう。
- 説明書確認: ストーブの分解や組み立ては、必ず取扱説明書を確認してから行いましょう。
- 無理な分解はしない: 分解は、自分で行える範囲にとどめ、無理な分解は避けましょう。
- 洗剤: 洗剤を使用する場合は、必ず薄めて使用し、拭き残しがないようにしましょう。
- 塗装面・プラスチック: 塗装面やプラスチック部分は、強くこすらないようにしましょう。
3. 【電気ストーブ】掃除&片付け方

電気ストーブは、石油ストーブに比べて構造がシンプルで、掃除も比較的簡単です。
電気ストーブの種類と特徴
電気ストーブには、いくつかの種類があります。
- カーボンヒーター:
- 特徴: 遠赤外線効果で、体の芯から暖まります。速暖性にも優れています。
- メリット: 比較的省エネ。
- デメリット: 表面が高温になるため、注意が必要。
- ハロゲンヒーター:
- 特徴: 即暖性が高いのが特徴です。
- メリット: すぐに暖まる。
- デメリット: 消費電力が高い。
- セラミックファンヒーター:
- 特徴: 温風で部屋を暖めます。
- メリット: 比較的安全性が高い。
- デメリット: 乾燥しやすい。
- パネルヒーター:
- 特徴: 輻射熱で、部屋全体をじんわりと暖めます。
- メリット: 空気を汚さない。
- デメリット: 暖まるまでに時間がかかる。
必要な道具
- 掃除機: ホコリを吸い取る
- ハンディモップ: ホコリを払い落とす
- 綿棒: 細かい部分の掃除
- 布: 拭き掃除
- 中性洗剤: 汚れがひどい場合(薄めて使用)
- アルコール除菌スプレー: 仕上げの除菌
- 隙間掃除用ブラシ: あると便利
掃除の手順

- 電源プラグを抜く: 必ず電源プラグをコンセントから抜き、本体が完全に冷めていることを確認します。
- 外せる部品を外す: 反射板やガードなど、外せる部品は取り外します。
- ホコリを取り除く: 掃除機やハンディモップで、本体や部品のホコリを取り除きます。
- 細かい部分の掃除: 綿棒や、隙間掃除用の細いブラシなどを使って、細かい部分のホコリや汚れを取り除きます。
- 拭き掃除: 固く絞った布で、本体や部品を拭きます。汚れがひどい場合は、薄めた中性洗剤を使用し、その後、水拭きで洗剤をしっかり拭き取りましょう。
- アルコール除菌: アルコール除菌スプレーを吹きかけ、布で拭いて仕上げます。
- 組み立て: 取り外した部品を元に戻し、完全に乾いたら完了です。
片付け・保管方法
- 完全に乾燥させる: 各部品を完全に乾燥させます。水分が残っていると、カビや故障の原因になります。
- 購入時の箱: 購入時の箱がある場合は、それに入れて保管するのがベストです。
- ホコリよけ: 箱がない場合は、本体全体を大きめの布やビニール袋で覆い、ホコリが付かないようにします。
- 保管場所:
- 湿気の少ない場所に保管しましょう。
- 直射日光が当たる場所は避けましょう。
注意点
- 水洗い厳禁: 電気ストーブは、水洗い厳禁です。感電や故障の原因になります。
- 分解は慎重に: 分解は、取扱説明書をよく読んでから行いましょう。
- 洗剤: 洗剤を使用する場合は、必ず薄めて使用し、拭き残しがないようにしましょう。
4. それでも落ちない汚れ、故障の場合は?

自分でお手入れしても、
- 汚れが落ちない
- 臭いが取れない
- 故障してしまった
などの場合は、無理をせず、メーカーや販売店に相談しましょう。修理や部品交換が必要な場合は、ストーブの修理も受けている専門業者に依頼するのも良いでしょう。
修理費用の目安
修理費用は、ストーブの種類、故障箇所、業者によって異なりますが、数千円~数万円程度が目安となります。
5. ストーブ掃除を楽にする!おすすめ便利グッズ

ここでは、ストーブ掃除を楽にする便利グッズをいくつかご紹介します。
隙間掃除用ブラシ
特徴: 細長い形状で、ストーブの隙間や、細かい部分の掃除に便利です。
おすすめ商品
レック 激落ちくん 隙間ブラシ

こちらの掃除アイテムは主にお風呂や排水口周りの掃除用として販売されていますが、ストーブの掃除にも十分活用できます。
- メリット: 極細繊維で、汚れをしっかりかき出す。
- 気になる点: 強くこすりすぎると、素材を傷める可能性がある。
アズマ工業 すきまブラシ

- メリット: 360度植毛されたブラシなので、細かな隙間の掃除にもぴったり。
- 気になる点: ブラシの反対側にスクレーパーが付いているので、持つ場所によってはすこし手が痛くなる可能性あり。
マイクロファイバークロス
特徴: 極細繊維で、汚れをしっかり吸着し、拭き跡も残りにくいので、仕上げ拭きにおすすめです。
おすすめ商品
レック 激落ちクロス マイクロファイバー
- メリット: 吸水性が高く、速乾性にも優れている。
- 気になる点: 洗濯を繰り返すと、吸水性が低下する場合がある。
スコッチブライト マイクロファイバークロス
- メリット: 耐久性が高く、繰り返し使える。
- 気になる点: 価格がやや高め。
アルカリ電解水
特徴: 電気分解によって生成された、アルカリ性の水です。油汚れに強く、スプレーボトルに入れて使うと便利です。
おすすめ商品
レック 激落ちくん アルカリ電解水
- メリット: 油汚れをしっかり落とす。
- 気になる点: アルミ製品など、使用できない素材もあるので、注意が必要。
メラミンスポンジ
特徴: 水だけで汚れを落とせるので、手軽に使えます。
おすすめ商品
レック 激落ちくん
- メリット: 細かい部分の掃除にも使いやすい、カットタイプが便利。
- 気になる点: 強くこすりすぎると、素材を傷める可能性があるので、注意が必要。特に、光沢のある面や、塗装面には使用しないようにしましょう。

6. ストーブ掃除に関するQ&A

ここでは、ストーブ掃除に関するよくある質問にお答えします。
Q1. 石油ストーブの芯は交換が必要ですか?
A1. はい、石油ストーブの芯は消耗品ですので、定期的な交換が必要です。芯が劣化すると、燃焼効率が低下したり、異臭が発生したり、不完全燃焼の原因になったりします。
- 交換時期の目安:
- 取扱説明書を確認する:多くのストーブの取扱説明書には、芯の交換時期の目安が記載されています。
- 見た目で判断する:芯が黒く焦げ付いている、硬くなっている、短くなっている場合は、交換時期です。
- 臭いや燃焼状態で判断する:点火しにくい、火力が弱い、異臭がするなどの症状がある場合も、芯の交換を検討しましょう。
- 一般的には、2~3シーズンごとの交換が推奨されています。
- 交換方法:
- ストーブの取扱説明書をよく読んで、手順を確認しましょう。
- 自分での交換が難しい場合は、メーカーや販売店に依頼しましょう。
- **「石油ストーブ 芯 交換 方法」**で検索すると、交換方法を解説した動画などが見つかります。
Q2. 電気ストーブの掃除で、水洗いしても良いですか?
A2. いいえ、電気ストーブは水洗い厳禁です。感電や故障の原因になります。必ず電源プラグをコンセントから抜き、本体が冷めてから、乾いた布やハンディモップなどで掃除しましょう。
Q3. ストーブの掃除を業者に依頼する場合、費用はどれくらいですか?
A3. ストーブの種類や汚れ具合、業者によって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。
- 石油ストーブ: 5,000円~15,000円程度
- 電気ストーブ: 3,000円~8,000円程度
Q4. ストーブを長持ちさせるためのコツは?
A4. 以下の点に注意すると、ストーブを長持ちさせることができます。
- 定期的な掃除: シーズン中も、こまめにホコリを取り除きましょう。
- 正しい保管: シーズンオフには、しっかり掃除をして、湿気の少ない場所に保管しましょう。
- 適切な燃料: 石油ストーブの場合は、必ず指定の燃料(灯油)を使用しましょう。
- 取扱説明書を読む: 取扱説明書をよく読み、正しい使い方、お手入れ方法を守りましょう。
7. ストーブを正しく手入れして、来シーズンも快適に使おう!

ストーブは、定期的な掃除と適切な片付けを行うことで、長く安全に使うことができます。今回ご紹介した方法を参考に、ぜひ実践してみてください。
ストーブを清潔に保ち、来シーズンも暖かく快適な冬を過ごしましょう!
免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、専門的なアドバイスではありません。ストーブの掃除・片付けに関する最終的な判断は、ご自身で行ってください。また、本記事の内容に基づいて発生したいかなる損害についても、一切の責任を負いかねます。
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