秋の行楽シーズンや、ペットとのお散歩など、自然と触れ合う機会が増えると、衣類に「ひっつき虫」が付いてしまうことも多くなります。
「ひっつき虫」とは、オナモミやコセンダングサなど、トゲやフック状の突起を持つ植物の種子や実の総称です。これらを無理に取ろうとすると、生地を傷めたり、トゲが折れて繊維の奥に入り込んでしまったりと、厄介なものです。
ここでは、洗濯前に衣類から「ひっつき虫」を安全かつ効率的に取り除く方法を、詳しく解説します。
1. ひっつき虫の種類と特徴を知ろう

一口に「ひっつき虫」と言っても、種類によって形状や付き方が異なります。まずは、主な種類と特徴を知っておきましょう。
- オナモミ類: 楕円形の実の表面に、カギ状のトゲが多数ある。トゲの先端が曲がっており、繊維に絡みつきやすい。
- センダングサ類: 細長い種子の先端に、逆向きのトゲがある。トゲが鋭く、刺さりやすい。
- ヌスビトハギ類: 扁平な実が数個連なっており、表面に細かい毛が密生している。マジックテープのように、繊維に付着する。
- イノコヅチ類: 細長い穂状で、小さなトゲが多数ある。
これらの特徴を知っておくことで、適切な除去方法を選びやすくなります。
2. ひっつき虫を取らずにそのまま洗濯してしまうと…

「ひっつき虫」を衣類につけたまま洗濯してしまった場合、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。
衣類へのダメージ
- 生地の傷み: ひっつき虫のトゲやフックが、洗濯中に他の衣類と絡まったり、擦れたりすることで、衣類の生地を傷めてしまう可能性があります。特に、デリケートな素材の衣類は注意が必要です。
- 色移り: ひっつき虫の種類によっては、洗濯中に色素が溶け出し、他の衣類に色移りしてしまう可能性があります。
- 取り除きにくくなる: 洗濯によって、ひっつき虫がさらに繊維の奥に入り込んだり、絡まったりして、取り除くのが困難になることがあります。
洗濯機への影響
- 洗濯槽の傷: ひっつき虫の硬いトゲが、洗濯槽の内側を傷つけてしまう可能性があります。
- 排水口の詰まり: 大量のひっつき虫が洗濯槽内に散らばると、排水口が詰まる原因になります。
- 故障の原因: ひっつき虫が洗濯機の内部に入り込むと、故障の原因になる可能性があります。
他の衣類への付着
- 二次被害: 洗濯中にひっつき虫が取れて、他の衣類に付着してしまう可能性があります。特に、目の粗いニットやタオルなどに付くと、取り除くのが大変です。
ひっつき虫が衣類に付着した場合は、洗濯前に必ず取り除くようにしましょう。
3. ひっつき虫を取る前に:確認すべきポイント

ひっつき虫を取り除く前に、以下のポイントを確認しましょう。
- 衣類の素材: デリケートな素材(シルク、レースなど)は、強い力でこすったり、粘着テープを使用したりすると、生地を傷める恐れがあります。
- ひっつき虫の量: 少量であれば手作業で除去できますが、大量に付着している場合は、効率的な方法を選ぶ必要があります。
- 付着している場所: 取り除きやすい場所か、細かい作業が必要な場所かを確認します。
4. これで解決!ひっつき虫の取り方:段階別対処法

ここでは、ひっつき虫の取り方を、段階別に詳しく解説します。
手で取る:基本は丁寧に、一つずつ
最も基本的な方法です。ひっつき虫の量が少ない場合や、デリケートな素材の衣類に適しています。
- 手順:
- ひっつき虫を、指で一つずつ、丁寧に摘まんで取り除きます。
- 根元から引き抜くようにすると、トゲが折れずに取り除きやすくなります。
- メリット: 衣類を傷めるリスクが最も低い。
- デメリット: 時間と手間がかかる。大量に付着している場合は、現実的ではない。
粘着テープを使う:効率的に除去
手で取るよりも効率的に、多くのひっつき虫を取り除くことができます。
- 手順:
- 粘着テープ(ガムテープや養生テープなど)を適当な長さに切り、粘着面を外側にして輪っか状にします。
- ひっつき虫が付着している部分に、粘着テープを軽く押し当て、剥がす、を繰り返します。
- メリット: 手で取るよりも効率的。比較的短時間で多くのひっつき虫を除去できる。
- デメリット: デリケートな素材には不向き。強く押し当てると生地を傷める恐れがある。また、粘着力が強すぎると、繊維が抜けてしまうことがあります。
- おすすめ商品
- ニトムズ コロコロ スペアテープ: 粘着力が異なる複数のタイプが販売されているので、衣類の素材に合わせて選べる。
- 積水化学工業 養生テープ: 粘着力が弱めのタイプが販売されているので、デリケートな素材にも比較的安心して使用できる。 ただし、種類によっては養生テープの粘着力では足りないこともある。

ブラシを使う:繊維の奥まで入り込んだ種子に
ブラシを使って、繊維の奥に入り込んだひっつき虫をかき出す方法です。
- 手順:
- 洋服ブラシや、使い古しの歯ブラシなどで、ひっつき虫が付着している部分をブラッシングします。
- 一方向にブラッシングするのではなく、様々な方向からブラッシングすると効果的です。
- メリット: 繊維の奥に入り込んだ種子も取り除きやすい。
- デメリット: 強くこすりすぎると、生地を傷める恐れがある。
- おすすめ商品
- イケア(IKEA) 洋服ブラシ ペップリグ: ブラシとちりとりがセットになっていて、取り除いた種をすぐに捨てられます。
- 無印良品 ブナ材洋服ブラシ: 豚毛を使用しているので静電気が起きにくく、カシミヤやウールなどの衣類にも使用できる。
櫛(くし)を使う:目の細かい櫛で絡め取る
目の細かい櫛を使って、ひっつき虫を絡め取る方法です。
- 手順:
- 目の細かい櫛(ノミ取り櫛など)で、ひっつき虫が付着している部分を優しく梳かします。
- 櫛に絡まったひっつき虫を、その都度取り除きます。
- メリット: 小さなひっつき虫も取り除きやすい。
- デメリット: 目が粗い櫛では効果がない。強く梳かしすぎると生地を傷める恐れがある。
おすすめ商品

- メリット: ノミ取り用の櫛は非常に目が細かいため、小さなひっつき虫もキャッチしやすい。
- 気になる点: 強く梳かしすぎると、ペットの皮膚を傷める可能性があるので、注意が必要。
食器用スポンジを使う
食器用スポンジの、硬い面を使ってひっつき虫を取り除く方法です。
- 手順:
- 食器用スポンジの硬い面を使い、ひっつき虫が付着している部分を優しく擦ります。
- メリット: スポンジの硬い面が、ひっつき虫を絡め取ってくれます。
- デメリット: スポンジの素材によっては、衣類を傷める可能性があるので注意が必要です。
ウェットティッシュを使う:手軽にできる裏ワザ
外出先でひっつき虫が付いてしまった時など、手元に道具がない場合に便利なのがウェットティッシュです。
- 手順:
- ウェットティッシュを広げ、ひっつき虫が付着している部分を軽く叩くようにして、ひっつき虫をウェットティッシュに移します。
- 強く擦ると生地を傷める恐れがあるので注意しましょう。
- ある程度とれたら、必要に応じて粘着テープやブラシなどを使い、残ったひっつき虫を取り除きます。

- メリット:
- 外出先でも手軽にできる。
- ウェットティッシュの水分で、ひっつき虫が柔らかくなり、取り除きやすくなる場合がある。
- 目の細かい生地にも使用できる。
- デメリット:
- 大量のひっつき虫が付いている場合は、対応しきれない。
- ひっつき虫の種類によっては、効果が薄い場合がある。
- 衣類の素材によっては、水分がシミになる恐れがあるので、目立たないところで試してから使用する。
- ポイント:
- ウェットティッシュの毛羽立ちを利用する: ウェットティッシュは、その構造上、表面に細かい繊維が毛羽立っています。この毛羽立った繊維が、ひっつき虫のトゲやフックに絡みつき、効率的にキャッチしてくれます。軽く叩くようにすると、ひっつき虫がウェットティッシュの方へ移動しやすくなります。
- 除菌・アルコール成分入り: 除菌やアルコール成分が含まれたウェットティッシュは、目立たないところで試してから使用する。
- おすすめ商品:
- シルコット ウェットティッシュ 除菌 ノンアルコールタイプ:
- メリット: ノンアルコールタイプなので、肌の弱い方や、アルコール臭が苦手な方でも安心して使用できる。
- 気になる点: アルコールタイプに比べて、除菌効果は劣る。
- キレイキレイ 除菌ウェットシート アルコールタイプ:
- メリット: 除菌効果が高く、外出先での衛生対策にも役立つ。
- 気になる点: アルコール成分が含まれているため、肌の弱い方は注意が必要。
- シルコット ウェットティッシュ 除菌 ノンアルコールタイプ:
※ 注意:大量のひっつき虫がついてしまった場合は、ウェットティッシュだけでは取り除くことが難しいため、粘着テープやブラシなどの他の方法を併用することをおすすめします。
5. それでもダメなら…最終手段

上記の方法でも取り除けない場合は、以下の方法を試してみましょう。
- 中性洗剤を使う: 水で薄めた中性洗剤を、ひっつき虫に直接つけ、しばらく置いてから、ブラシや櫛で取り除きます。
- クリーニング店に相談する: デリケートな素材の衣類や、大量にひっつき虫が付着している場合は、クリーニング店に相談するのも一つの方法です。
クリーニング店に依頼した場合の料金相場
ひっつき虫の除去をクリーニング店に依頼した場合の料金は、衣類の種類、ひっつき虫の量、店舗によって異なりますが、一般的な衣類1点あたり500円~3,000円程度が相場です。
ただし、これはあくまでも目安であり、以下のようなケースでは追加料金が発生する可能性があります。
- デリケートな素材: シルクやカシミヤなどのデリケートな素材は、特殊な処理が必要となるため、料金が高くなる傾向があります。
- 大量のひっつき虫: ひっつき虫の量が多い場合、除去に手間がかかるため、追加料金が発生することがあります。
- 特殊なデザイン: 装飾が多い服や、複雑なデザインの服は、追加料金が発生する可能性があります。
依頼する際のポイント
- 事前に見積もりを依頼する: 複数の店舗で見積もりを取り、料金やサービス内容を比較検討することをおすすめします。
- ひっつき虫の種類と量を伝える: ひっつき虫の種類や量を具体的に伝えることで、より正確な見積もりを得ることができます。
- 納期を確認する: 急ぎの場合は、事前に納期を確認しておきましょう。
注意点
- すべてのクリーニング店で、ひっつき虫の除去に対応しているわけではありません。事前に電話などで確認しておくと安心です。
- ひっつき虫の状態や衣類の素材によっては、完全に除去できない場合もあります。
6. ひっつき虫を予防するには

ひっつき虫の付着を予防するためには、以下の点に注意しましょう。
- 服装に注意する: ひっつき虫が付きやすい場所に行く際は、表面が滑らかな素材の服を選ぶようにしましょう。
- 静電気防止スプレーを使用する: 静電気防止スプレーを衣類に吹きかけておくと、ひっつき虫が付着しにくくなります。

- ペットのブラッシング: ペットと一緒に外出する際は、ペットのブラッシングをこまめに行い、ひっつき虫を事前に取り除きましょう。
- 帰宅後すぐにチェック:外出から戻ったら、すぐに衣服にひっつき虫がついていないか確認しましょう。
7. まとめ:事前の対策と適切な方法で、ひっつき虫を撃退!

ひっつき虫は、種類や付着状況に合わせて、適切な方法で取り除くことが大切です。今回ご紹介した方法を参考に、洗濯前の「ひっつき虫対策」をしっかり行い、大切なお洋服を守りましょう。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、専門的なアドバイスではありません。ひっつき虫の除去に関する最終的な判断は、ご自身で行ってください。また、本記事の内容に基づいて発生したいかなる損害についても、一切の責任を負いかねます。
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